生成AI、最初から大仕事を任せようとしていませんか?社員30人までの会社の「最初の一業務」の選び方
社員30人までの会社で、生成AIを使いたい。でも、最初にどの業務を任せればいいか決まらない。この記事では、総務担当者が毎月作る「社内の締切案内」を例に、最初の一業務を選ぶ基準を整理します。持ち帰ってほしいのは、繰り返しがあり、正解を人が確…

社員30人までの会社で、生成AIを使いたい。でも、最初にどの業務を任せればいいか決まらない。この記事では、総務担当者が毎月作る「社内の締切案内」を例に、最初の一業務を選ぶ基準を整理します。持ち帰ってほしいのは、繰り返しがあり、正解を人が確認でき、小さく切り出せる仕事を選ぶという考え方です。

「いちばん大変な仕事」から選ぶと、始めにくい
想定してみてください。社員20人の会社で、総務担当者が経費精算の締切案内を作っています。
締切日を確認する。提出先を書く。前月の案内を探して直す。読みづらくないか見直して、社内チャットに投稿する。大きな仕事ではありませんが、毎月発生します。
一方で、経費精算全体を楽にしたいと思うと、領収書の確認、金額の集計、承認まで任せたくなるかもしれません。ただ、その範囲では、社内規程や例外処理まで整理する必要が出てきます。
私なら、最初は「確定した情報から、締切案内の下書きを作る」部分を選びます。導入の入口では、仕事の大きさよりも、試した結果を判断できることを優先したいからです。
業務名ではなく「任せる一部分」を決める
「総務にAIを入れる」では、担当者は何をすればいいか分かりません。「経費精算を効率化する」でも、まだ範囲が広すぎます。
今回なら、任せる範囲はこう書けます。
担当者が確認した締切日・提出先・注意事項を渡し、社内チャット用の案内文を作る。投稿前に担当者が確認する。
これなら、AIに渡すもの、作ってほしいもの、最後に確認する人が見えます。締切日を決めることや、実際に投稿することは、人の作業として残します。
「どの業務に使えるか」を考える前に、「その業務のどこを任せるか」を一文にする。この順番にすると、最初の一業務を選びやすくなります。
候補は、四つの条件で絞る
最初の候補が見つかったら、次の四つを確認してください。今回の締切案内も、この基準で判断できます。
- 繰り返すか: 毎月発生し、次回も似た形で使える。
- 正解を確認できるか: 締切日や提出先を、元の情報と照合できる。
- 必要な情報だけ渡せるか: 社員名や領収書を渡さず、案内に必要な条件だけで作れる。
- 確認者を決められるか: 総務担当者が投稿前に読み、誤りを直せる。
特に見てほしいのは、「AIの文章を見て、担当者が正しいと判断できるか」です。自然な文章でも、締切や提出方法が違えば、その案内は使えません。
判断基準が曖昧な仕事は、出来上がったものを評価するだけで時間がかかります。最初は、元の情報と見比べれば合否が分かる仕事を選ぶと、試行を進めやすくなります。
四つの条件がそろわない場合は、業務を丸ごと諦める必要はありません。任せる範囲を狭めてください。たとえば提出方法が未確定なら、先に確認し、確定した項目だけを下書きに使います。
前月の案内を丸ごと渡す前に、材料をそろえる
前月の文章を貼って「今月用に直して」と頼むのは手軽です。ただ、古い日付や、前月だけの注意事項が混ざっていると、どこを変えるべきか曖昧になります。
まず、今回必要な情報を短い箇条書きにします。対象者、締切、提出先、注意事項。この材料を人が確認してから渡せば、生成された案内の確認も同じ項目で行えます。
以下は架空の記入例です。実際に試す際は、自社で利用を認めた生成AIを使い、入力できる情報の範囲に従ってください。実データを使わず、架空の条件で文章の形を確かめることもできます。
そのまま使える依頼テンプレート
社内チャットに掲載する、経費精算の締切案内の下書きを作ってください。
確認済みの情報
- 対象者:経費精算が必要な社員
- 締切:○月○日、17時
- 提出先:社内の経費申請システム
- 注意事項:領収書の添付漏れを確認する
- 問い合わせ先:総務担当
作成条件
- 件名と本文を分ける
- 本文は200文字以内を目安にする
- 締切と提出先を見つけやすくする
- 入力にない規則、罰則、例外を追加しない
- 不足情報があれば、補わずに「要確認」として本文の後に挙げる
このテンプレートの役割は、文章を上手に書かせることだけではありません。AIが書いてよい範囲を、確認済みの情報に限定することです。
「適切に案内して」だけでは、担当者が期待した内容との違いを見つけにくくなります。材料と条件を分けて渡すと、修正すべき場所を特定しやすくなります。
一回試して、「確認まで含めて」比べる
試すときは、過去の案内を参考に、同じ条件で下書きを一つ作ってみてください。最初から社内全員に使ってもらう必要はありません。案内を作る担当者一人で、試行は始められます。
出力を見たら、締切・提出先・対象者を元の情報と照合します。次に、入力していない規則が追加されていないかを確認します。「期限後は受け付けません」など、もっともらしい一文にも注意してください。
比べるのは、AIが文章を出すまでの時間だけではありません。材料をまとめる時間、依頼する時間、確認して直す時間を含めた総時間です。前月の案内を直すほうが早ければ、その結果も有効な判断材料になります。
一度で大きく短縮できなくても、何を直したかは残してください。「毎回文章が長い」なら文字数の条件を調整する。「締切が埋もれる」なら、締切を本文の最初に置くよう依頼する。修正を次回の条件に反映します。
「使えた」の基準を、試す前にそろえる
案内文が一つできても、それだけでは業務に取り入れるか判断できません。試行前に、担当者が何を見て継続を決めるか、簡単にそろえておきます。
今回なら、確認項目は次の三つで十分です。
- 締切・提出先・対象者に誤りがない。
- 元の情報にない規則が追加されていない。
- 準備と修正を含め、従来の作り方より負担が減っている。
文章の好みだけで評価すると、言い回しの修正が増えがちです。「社員が締切と提出先を迷わず確認できるか」を中心に見れば、必要な修正に絞れます。
条件を直しても確認の手間が多いなら、その作業は今の形では導入しない。最初の試行では、採用することより、続ける理由を説明できることが大切です。
最初の一業務は、小さくてもいい
社員30人までの会社では、同じ人が案内作成と問い合わせ対応を兼ねることもあるでしょう。下書きが早くできても、誤った案内で問い合わせが増えれば、担当者の負担は減りません。
だからこそ、最初は人が確認してから使える範囲を選びます。確認を含めて作業が軽くなったら、依頼文と確認項目を一緒に残す。担当者が替わっても、同じ条件で試せるようにします。
生成AIに最初に任せるのは、会社でいちばん大きな仕事でなくても構いません。繰り返す作業の中から、正解を確認できる一部分を選ぶ。そこが、導入を具体的に進める入口です。
まず、直近の締切案内を一つ開き、「AIに任せるのはどこからどこまでか」を一文で書いてください。ツールを開くのは、その一文ができてからで十分です。
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