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生成AIの規制、うちの会社も対象?小さな会社がニュースより先に確認したいこと

「生成AIの規制が厳しくなるらしい。でも、うちの会社にも関係あるの?」

この記事を読む理由
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社員30人ほどの会社でChatGPTを仕事に使い始めると、こんな疑問が出てきます。

今回は、日本と海外のAI規制を整理しながら、小さな会社が何を確認すれば安心して業務に使えるのかを、営業資料の作成を例に考えます。

結論から言うと、ニュースに出てくる規制をすべて覚える必要はありません。

まず確認したいのは、「どの法律が、自社のどの使い方に関係するのか」です。

AIの規制が増えたら、ChatGPTは使えなくなる?

生成AIに関するニュースを見ると、少し不安になる言葉が並びます。

「AI法の施行」「EUのAI規制」「個人情報の取り扱い」「著作権の問題」。

これだけ聞くと、会社でAIを使うこと自体が難しくなったように感じるかもしれません。

でも、規制があることと、AIの利用が禁止されることは別です。

日本では2025年9月1日に「人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に関する法律(AI法)」が全面施行されました。

この法律は、AIの研究開発や活用を促進しながら、リスクへの対応も進めるためのものです。

AIを使うすべての中小企業に、一律の事前許可やAI利用の届出を求める法律ではありません。

一方で、事業者には国などの施策への協力が求められます。問題のあるAI利用について、政府が調査や指導・助言などを行う仕組みもあります。

つまり、「AIを使ってはいけない」ではなく、「適切な活用を進める」という方向です。内閣府+1

ただし、ここで安心して終わるのは早いと思います。

日本のAI法だけを見て「うちは問題ない」と判断するのも危険だからです。

本当に確認したいのは、AI法だけではない

例えば、社員20人の会社で営業担当者がChatGPTを使う場面を考えてみます。

目的は、新規顧客に渡す提案資料を作ることです。

担当者は作業を早く終わらせようとして、過去の提案書や顧客情報をAIに渡そうとしています。

このとき、何を気にするべきでしょうか。

実は、日本のAI法だけでなく、すでに存在する法律や契約上の義務が問題になります。

① 個人情報保護法

顧客の氏名、担当者の連絡先などを入力する場合、その情報がAIサービスでどう扱われるのかを確認する必要があります。

個人情報保護委員会は、生成AIに個人情報を入力する際、利用目的の範囲内か確認することや、個人データがAIの機械学習に利用されないこと等を十分に確認することを求めています。個人情報保護委員会+1

② 著作権法

他社の提案資料やWebサイトの文章をAIに読み込ませ、似た資料を作る場合は注意が必要です。

AIが生成したからといって、著作権侵害の問題がなくなるわけではありません。

特に、他社の文章や画像と類似するものを、そのまま営業資料に掲載する使い方は慎重に判断する必要があります。

③ 顧客との契約や守秘義務

法律上の個人情報に当たらなくても、顧客との契約で第三者への開示が制限されている情報があります。

例えば、未公開の価格条件、取引先の内部資料、商談内容などです。

AIサービスへの入力が契約上問題ないかは、サービスのデータ取り扱い条件と顧客との契約内容によって変わります。

ここで押さえたいのは、「生成AI専用の法律に違反していないから安全」とは限らないという点です。

EUのAI規制、日本の小さな会社も対応が必要?

海外のニュースでよく登場するのが、EUの「AI Act(AI規則)」です。

EUでは2024年8月にAI規則が発効し、2026年8月には多くの規定の適用や執行が始まりました。

禁止されるAI利用や透明性に関する義務など、AIのリスクや利用方法に応じた規制が設けられています。AI Act Service Desk+1

では、日本で営業資料を作る会社も、EUの規制に対応する必要があるのでしょうか。

答えは、必ずしもそうではありません。

EUの市場にAIシステムを提供する場合や、一定の条件でAIの出力をEUで利用する場合などには、日本企業でも対象になり得ます。

反対に、日本国内で一般的な営業資料の下書きを作るだけなら、それだけを理由にEUのAI規則の全義務が適用されるわけではありません。

確認したいのは、会社の規模ではなく事業との関係です。

  • 日本国内だけでAIを使っているのか
  • EUの顧客向けにAIシステムを提供しているのか
  • AIの出力をEUで利用する事業があるのか
  • 人の採用や評価など、規制上リスクの高い用途に使うのか

規制は国や地域によって異なり、適用時期も段階的です。

「海外で新しいAI規制が始まった」という見出しだけで、すぐに利用を止める必要はありません。

まず、自社が規制の対象になる使い方をしているか確認すること。 ここが出発点です。

小さな会社は「営業資料の作り方」から確認すればいい

では、社員20〜30人の会社は何から始めるべきでしょうか。

私は、難しい法律の一覧を作るよりも、すでにAIを使っている業務を1つ選び、そこから確認する方法が現実的だと考えます。

ここでは、ChatGPTを使った営業提案資料の作成に絞ります。

例えば、次のような使い方です。

Before:何も決めていない状態

営業担当者が過去の顧客向け提案書をコピーして、ChatGPTに貼り付ける。

生成された文章を新しい提案書に転記し、そのまま顧客に送る。

これでは、入力情報の扱いも、出力内容の確認責任も曖昧です。

After:確認する順番を決めた状態

  1. 顧客名や非公開情報を入力する必要があるか確認する
  2. 利用するAIサービスのデータ取り扱い条件を確認する
  3. 公開可能な情報だけで資料の下書きを作る
  4. 担当者が内容と出典を確認してから提出する

この順番なら、AIの便利さを残しながら、法律や契約に関わるリスクを確認できます。

ただし、名前を削除するだけでは十分でない場合もあります。

案件名、金額、取引内容を組み合わせると、特定の顧客が分かってしまうことがあるからです。

重要なのは、匿名に見えるかではなく、入力する必要がある情報かどうかです。

そのまま使える「AI規制の確認メモ」

ここまでの内容を、現場で使える形にまとめます。

新しい生成AIサービスを導入するときや、営業資料の作成に使い始めるとき、担当者が記入する想定です。

生成AI利用・規制確認メモ

利用する業務: 営業提案資料の下書き

利用サービス: ChatGPT(契約プランも記入)

① 入力する情報

  • 顧客名・個人情報は含まれるか
  • 未公開の価格や契約条件は含まれるか
  • 他社の著作物や提供資料は含まれるか

② サービスの利用条件

  • 入力情報はAIの学習に利用されるか
  • 保存・共有・削除の条件を確認したか
  • 会社で承認したサービス・契約プランか

③ 法律や契約との関係

  • 個人情報保護法上の確認が必要か
  • 著作権や利用許諾の確認が必要か
  • 顧客との守秘義務に反しないか
  • 海外のAI規制が関係する事業か

④ 出力後の確認

  • 事実、金額、出典を確認したか
  • 他社の文章や画像を不適切に使っていないか
  • 社外提出前の確認担当者は誰か

判断: 利用可/条件付きで利用可/利用不可/要確認

確認者: 担当者名・確認日

このメモは、法律への適合を保証する書類ではありません。

目的は、確認が必要な情報を見落とさず、判断できないものを放置しないことです。

例えば、利用サービスが入力データを学習に使うか分からなければ、その場で顧客情報を入力せず、提供元の公式資料や契約条件を確認します。

顧客との契約に関わる場合は、社内の責任者や必要に応じて専門家に確認します。

これだけでも、「担当者が便利だと思ったから使った」という状態を改善できます。

規制ニュースを毎日追いかける必要はある?

AIの規制は変化しています。

ただ、社員30人ほどの会社が、世界中の法律を毎日確認するのは現実的ではありません。

大切なのは、ニュースを読むたびに次の問いに戻ることです。

「この変更は、うちのどの業務に影響するのか?」

例えば、EUで新たな規制が適用されたとしても、自社の業務との関係がなければ、直ちに運用を変更する必要があるとは限りません。

一方、日本の個人情報に関するルールや、現在使用しているAIサービスの利用条件が変われば、営業資料の作り方を見直す必要が出てくるかもしれません。

確認先は、次の公的な一次情報から始められます。

  • 内閣府: 日本のAI法
  • 個人情報保護委員会: 生成AIサービスの利用に関する注意喚起
  • 欧州委員会: EU AI Actの適用スケジュール

法律の内容だけでなく、対象となる事業者、利用方法、適用時期をセットで確認するのがポイントです。

なお、法律への対応とは別に、AIサービスの利用規約や顧客との契約も定期的に確認しましょう。

読後の実行チェック
読後の実行チェック

まとめ:生成AIの規制は、会社の規模より使い方で考える

生成AIの規制と聞くと、何か特別な対策を始めなければいけないように感じます。

しかし、小さな会社が最初に必要とするのは、複雑な管理システムでも、大量の規程集でもありません。

「何の業務に、どんな情報を使い、誰が確認するのか」を説明できる状態にすることです。

法律を全部暗記する必要はありません。

ただし、分からないまま顧客情報を入力したり、AIの回答をそのまま社外に出したりしない仕組みは必要です。

今日やることは1つだけ。

社内でChatGPTを使って作っている営業資料を1つ選び、先ほどの確認メモを埋めてみてください。

どこまで確認できていて、何が未確認なのか。それが分かれば、次に対応すべきことも具体的になります。

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