ブログ

BLOG

ホーム>ブログ>社内のAI利用ルール、何から決める?「顧客への返信」を例に考える

社内のAI利用ルール、何から決める?「顧客への返信」を例に考える

社員がChatGPTで顧客への返信を下書きしたい。でも、社内のAI利用ルールはまだない。小さな会社では、何を入力してよくて、誰が送信前に確認するのかが曖昧になりがちです。まずは問い合わせ返信を一つの例にして、今日決められるルールの初版を作…

社員がChatGPTで顧客への返信を下書きしたい。でも、社内のAI利用ルールはまだない。小さな会社では、何を入力してよくて、誰が送信前に確認するのかが曖昧になりがちです。まずは問い合わせ返信を一つの例にして、今日決められるルールの初版を作りましょう。

この記事を読む理由
この記事を読む理由

「AIを使っていい?」では判断できない

たとえば、顧客から「注文した商品の到着予定を教えてください」とメールが届いたとします。担当者はChatGPTに返信文を作ってもらいたい。一方、経営者は顧客情報を入力してよいのか気になる。

このとき「業務にAIを活用してよい」とだけ決めても、担当者は動けません。「個人情報に注意する」だけでも、注文番号や氏名をどう扱うかは人によって変わります。

私なら、全業務に共通する立派な規程から書き始めるより、まずこの返信作業に対して「何を入力するか」「何を確認してから使うか」を決めます。具体的な作業があれば、社員も迷う箇所を指摘しやすいからです。

まず、元のメールを貼る前に止まる

顧客のメールを丸ごと入力すれば、返信案は作りやすいでしょう。ただ、そのメールには氏名、メールアドレス、住所、注文番号、購入履歴など、返信文の下書きには不要な情報が含まれる場合があります。

そこで最初のルールは、元のメールをそのまま貼らず、返信に必要な用件だけを自分の言葉で書くことです。社内で利用を認めたAIツールと設定を確認したうえで、この形を使います。

想定例として、担当者が入力する文を比べてみます。

  • 避ける入力:「山田花子様から、注文番号12345について次のメールが届きました」と、メール全文を貼る。
  • 下書き用の入力:「顧客から商品の到着予定について質問があった。現時点で発送日は未確定。確認中であることを伝え、確定後に連絡する返信案を作ってください」

後者には、返信の目的と確認済みの事実があります。顧客の名前や注文番号をAIに渡さなくても、文面の骨組みは作れます。実際の氏名や注文情報は、担当者が社内の記録を見て、送信前に必要な箇所へ入れます。

ただし、名前を消せば何でも入力してよいわけではありません。少数の取引先しかない会社では、商品名や事情だけで相手が分かることもあります。入力文を見て相手や取引内容が特定できそうなら、さらに一般化するか、その作業でのAI利用を見送ります。

返信案は「確認済みの答え」ではない

入力を整えても、AIが作った返信をそのまま送ることはできません。今回の例で注意したいのは、未確定の発送日です。AIが気を利かせたつもりで「明日発送します」と書けば、会社が約束していない予定を伝えることになります。

そのため、入力時点で「発送日は未確定」と明示します。出力を読んだ担当者は、日付やお詫びの内容が勝手に付け足されていないか確認します。必要なら「発送日は確認中です。分かり次第ご連絡します」と、確認できた範囲に直します。

ここで決めるべきなのは、AIの文章が自然かどうかだけではありません。誰が事実を確認し、誰が送信するかです。通常の問い合わせは担当者が確認して送信する。返金、納期の約束、苦情への回答など、その場で判断できない内容は責任者に回す。こう書けば、担当者が一人で抱え込まずに済みます。

そのまま使える、ルール初版の書き方

まずは社内文書を何ページも作る必要はありません。問い合わせ返信について、次の文章を自社の運用に合わせて埋めてください。


問い合わせ返信のAI利用ルール(初版)

  • 対象作業:顧客への返信文の下書き
  • 使うツール:会社が利用を認めた「____」
  • 入力する内容:問い合わせの用件、確認済みの事実、返信で伝えたいこと
  • 入力しない内容:顧客の氏名・連絡先・注文番号、メール全文など、下書きに不要な情報
  • 送信前の確認:担当者が顧客情報、日付、金額、約束する内容を元の記録と照合する
  • 判断に迷う場合:入力せず「____」に相談する
  • 責任者に回す内容:返金、納期の約束、苦情など「____」

空欄には、実際に使うツール名と相談先を書きます。「責任者に回す内容」は、自社で担当者に任せている範囲に合わせて直してください。これだけでも、「使っていいらしい」という曖昧な状態から、問い合わせ返信の担当者が判断できる状態へ一歩進みます。

作ったら、実際の顧客情報を使わずに試します。「到着予定を聞かれたが、発送日は未確定」という架空の問い合わせで入力文を作り、出てきた返信案を担当者と責任者で読んでみてください。ルールに書いた確認項目だけで判断できるかを見るためです。

使ってみて、迷った一文を直す

初版を作っただけでは、現場に合っているか分かりません。試した担当者が「この商品名は入力していい?」「お詫びの文は責任者に見せる?」と迷ったら、その質問を残します。次に同じ迷いが起きないよう、ルールの該当する一文を具体的に直します。

対象を問い合わせ返信に絞るのは、ほかの業務を軽く見るためではありません。一つの作業で「入力する情報」と「人が確認する責任」を言葉にできれば、別の作業を検討するときにも、同じ問いから始められます。

今日やることは一つです。顧客への返信を下書きするとき、社員がAIに入力してよい内容を一文で書く。 その一文を担当者に見せ、判断が分かれる言葉があれば具体的に直してください。


もっと具体的な手順とテンプレートが必要な方へ

問い合わせ内容を下書き用の入力文に直し、送信前に事実を照合する手順を紹介しました。この判断を社内で回せる形にまとめた有料記事があります。

→

読後の実行チェック
読後の実行チェック

この記事の続きを、社内で回せる形にまとめました

この記事で扱った話の続きとして、問い合わせ・Excel・研修・採用・SNSにそのまま使えるプロンプトとテンプレ、社内のAI利用ルール雛形、使い始める前の安全チェック、30日の導入計画までを1本にまとめました。

【保存版】社員30人までの会社が生成AIを毎日の業務に載せる8ステップ(1,980円)

→ https://note.com/arista_inc/n/n7c6f6fb980b2

← 記事一覧へもどる

「うちの場合はどうすれば?」と思ったら

記事に書ききれない、会社ごとの事情に合わせたやり方もあります。相談は無料です。

相談してみる(無料)