AIに仕事を頼むたび、会社の説明から始めてない?ChatGPTに「うちの前提」を伝えるだけで変わること

ChatGPTに仕事を頼むたび、「うちは小さな会社で、こんな商品を扱っていて……」と説明していませんか?

特に、毎週の営業会議の報告文をAIで作っている担当者ほど、この繰り返しに心当たりがあるかもしれません。
解決のポイントは、会社の前提と、その日だけの情報を分けて渡すことです。今回は、同じ説明を繰り返さずに済む、実務で使える方法を紹介します。
AIは賢いのに、なぜ毎回説明が必要なのか?
社員15人の小さな会社を想像してください。
営業担当が毎週金曜日、ChatGPTを使って営業会議の報告文を作っています。
報告する内容は、今週の商談状況、受注見込み、困っていること、来週の予定です。
ところが、ChatGPTを開くたびに、こんな説明から始めています。
「うちは法人向けの商品を販売しています。営業担当は3人です。報告文は社長向けなので、専門用語を使わず、短くまとめてください」
翌週も、ほぼ同じ説明を入力します。
説明を省略すると、今度はAIが勝手に丁寧すぎる報告書を作ったり、社長が求めていない細かい分析を始めたりします。
結局、説明するか、出てきた文章を直すか。
これでは、AIを使っているのに手間が減りません。
私は、この問題を「AIの文章力」ではなく、AIに渡す情報の整理方法の問題として考えています。
AIが会社の事情を知らないこと自体は、当たり前です。
問題は、毎回変わらない情報まで、その都度説明していることです。
AIに渡す情報には、変わるものと変わらないものがある
営業会議の報告文を例に考えてみます。
まず、会社の基本情報は毎週ほとんど変わりません。
会社の事業内容、誰に報告するのか、どんな文章が好まれるのか。こうした内容は、一度整理しておけば繰り返し使えます。
一方で、商談の進捗や受注見込み、今週起きた問題は毎回変わります。
この違いを意識するだけで、AIへの頼み方が変わります。
毎回変わらない情報
- 会社は法人向けの商品を販売している
- 営業担当は3人
- 報告先は社長
- 報告は短く、結論から書く
- 数字や事実が不明な場合は推測しない
毎回変わる情報
- 今週の営業活動
- 商談の進捗
- 発生した問題
- 来週の予定
前者が「会社の前提」、後者が「今回の材料」です。
重要なのは、両方をひとつの長い文章に混ぜないこと。
会社の前提を独立させれば、毎週の作業では今回の材料を中心に入力できます。
つまり、AIに仕事を頼む前に、AIが仕事を理解するための共通説明を作っておくのです。
「会社の前提」は長ければいいわけではない
ここで注意したいのが、会社情報を何でも詰め込んでしまうことです。
設立年月日、資本金、所在地、沿革、取引先、組織図……。
社内にある情報をすべてAIに渡せば、良い回答が返ってくるのでしょうか。
必ずしもそうではありません。
例えば、営業会議の報告文を書く仕事に、会社の設立年月日が必要でしょうか。
ほとんどの場合、必要ありません。
逆に「社長は長い文章を好まない」「結論を最初に知りたい」という情報は、報告文の出来を大きく左右します。
ここに、会社の前提を作るコツがあります。
会社の紹介文ではなく、AIが仕事をするときの判断基準を書く。
会社案内を作るなら会社の沿革が必要かもしれません。
しかし、営業報告を作るなら、誰に、何を、どんな順番で伝えるかが重要です。
会社全体で共通する情報と、営業報告だけに必要な情報を混同しないことも大切です。
すべての仕事で使える万能な説明文を目指すより、まずは毎週繰り返している仕事に合わせた短い前提を作る方が実用的です。
実際に使う「会社の前提」はこれくらいでいい
ここからは、そのまま使える形にしてみます。
想定するのは、社員15人の会社で、営業担当が社長に週次報告を提出する場面です。
会社名や実際の営業情報は入れず、仮の情報だけで作っています。
会社の前提テンプレート(記入例)
【会社・業務】
- 法人向けの商品を販売する会社
- 営業担当は3人
- 毎週、社長向けの営業報告を作成する
【報告する相手】
- 報告先は社長
- 忙しいため、短時間で状況を把握したい
- 特に問題点と次の対応を重視する
【文章のルール】
- 最初に結論を書く
- 長い前置きは不要
- 専門用語はできるだけ避ける
- 事実と提案を分けて書く
- 数字が不明な場合は推測しない
【出力形式】
- 今週の状況
- 発生した問題
- 来週の対応
【AIへの指示】
今後、この業務の営業報告を作る際は、上記の前提に従ってください。
今回の材料にない事実は追加しないでください。
判断に必要な情報が不足している場合は、不明と記載してください。
この程度で十分に始められます。
大切なのは、情報量よりも、AIが迷わずに文章を組み立てられることです。
ただし、この前提を一度入力しただけで、すべての新しいチャットに自動で反映されるわけではありません。
同じ会話内なら参照できても、新しい会話では引き継がれない場合があります。
そのため、前提文は社内で管理する文書などに保存し、必要なときに使える状態にしておきます。
毎週入力するのは「今週の材料」だけに近づける
会社の前提を用意できたら、次は毎週の使い方です。
例えば、こんな営業メモがあったとします。
今週の営業メモ(架空の例)
- A社:見積もり提出済み、回答待ち
- B社:納期の調整が必要
- C社:来週、初回打ち合わせ予定
- 今週の課題:B社の納期が確定していない
AIへの依頼
保存している会社の前提を踏まえて、次の営業メモから社長向けの週次報告を作ってください。
今週の状況、発生した問題、来週の対応の順番でまとめてください。
事実が確認できない内容は追加しないでください。
これなら、会社の事業内容や社長の好みを毎週説明し直す必要がありません。
実際には、保存した前提をAIに参照させる方法が必要です。
最も簡単なのは、前提文を今回の依頼と一緒に貼り付けることです。
ChatGPTのプロジェクト機能など、指示を保存・再利用できる環境なら、営業報告用の前提を設定する方法もあります。ただし、利用できる機能や適用範囲は契約プランや設定によって異なります。
どちらの方法でも、考え方は同じです。
共通の前提は再利用し、毎回の作業では新しい事実だけを更新する。
これができれば、指示を書くたびに会社紹介から始める必要がなくなります。
会社の前提に「何を書かないか」も決めておく
ここまで読むと、「だったら社内情報を全部登録しておけば便利なのでは?」と思うかもしれません。
しかし、それはおすすめしません。
会社の前提と、社外に出してはいけない情報は別物だからです。
営業報告なら、社長が好む文章の形式は必要ですが、顧客の個人情報や未公開の契約条件まで共通の前提に登録する必要はありません。
例えば、次のように置き換えられます。
- 顧客の実名 → A社、B社
- 担当者の氏名 → 営業担当者
- 未公開の契約金額 → 必要に応じて伏せる
ただし、名称を置き換えるだけで匿名化が完了するとは限りません。ほかの情報と組み合わせて相手が特定できる場合もあります。
AIに入力してよい情報は、会社のルールや利用サービスの設定を確認したうえで判断してください。
また、会社の前提は一度作れば永久に使えるものではありません。
営業体制が変わったり、報告先が変わったりすれば、前提文も更新する必要があります。
古い前提を使い続けると、AIは古いルールに沿った文章を作ってしまいます。
保存する文書には管理担当者と更新日を記載し、変更があったときに直せるようにしておくと安心です。
まずは「毎回同じことを説明している部分」を見つけよう
AIを仕事で使うとき、つい便利な指示文を探したくなります。
しかし、すでにAIを使い始めている会社なら、その前に見直してほしいことがあります。
それは、自分がAIに何度も説明している内容です。
例えば、営業報告を作るたびに「社長向けなので短く」と入力しているなら、それは毎回書く内容ではありません。
会社の前提に移せる情報です。
反対に、今週の商談結果は来週には変わります。こちらは共通の前提に固定してはいけません。
この線引きを間違えなければ、AIへの指示は整理しやすくなります。
最後に、営業報告で使う前提文を確認するポイントをまとめます。
前提文の確認ポイント
- 報告する相手が明確になっているか
- 文章の長さや形式が決まっているか
- 不明な事実を推測させない指示があるか
- 毎週変わる情報を固定していないか
この4つを確認できたら、実際の営業報告に使ってみてください。
最初から完璧な前提文を作る必要はありません。出てきた報告文を確認し、会社のルールと違う部分があれば、前提文を修正します。
もちろん、AIが作った文章の最終確認は担当者が行います。
AIに会社のすべてを覚えさせることが目的ではありません。
AIが毎回同じところで迷わないようにすること。
そのために、まず今日、いつも使っている営業報告の指示文を開き、毎回繰り返している説明をひとつだけ抜き出してみてください。
そこから、あなたの会社専用の「前提」が作れます。
もっと具体的な手順とテンプレートが必要な方へ
会社の前提を整理し、毎週の営業報告で再利用するには、入力例だけでなく、出力結果の確認や修正の手順も必要です。
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