ChatGPTに顧客名簿、そもそも必要?案内メールを作る前に決めたい線引き
社員30人くらいまでの会社で、顧客への案内メールをChatGPTで作りたい担当者へ。顧客名簿を貼るべきか迷ったら、まず「本文を書くために、誰の情報が必要か」を考えてみてください。この記事では、名簿を渡さずに共通の案内文を作り、宛名と送信先…

社員30人くらいまでの会社で、顧客への案内メールをChatGPTで作りたい担当者へ。顧客名簿を貼るべきか迷ったら、まず「本文を書くために、誰の情報が必要か」を考えてみてください。この記事では、名簿を渡さずに共通の案内文を作り、宛名と送信先を社内で設定する手順を紹介します。

名簿を貼りたくなるのは、仕事をまとめて頼みたいから
想定例として、小さな販売会社が既存のお客様へ「商品の展示会」をメールで案内する場面を考えます。担当者の手元には、氏名、メールアドレス、購入商品、購入日、対応メモが入った顧客名簿があります。
「この名簿をもとに、お客様向けの案内メールを書いて」
こう頼めば、宛名まで入った文章ができそうです。忙しいときほど、必要な情報を選ぶより、ファイルを丸ごと渡したくなりますよね。
でも、共通の案内文を書くために必要なのは、展示会の日時、場所、紹介する商品、参加方法です。お客様一人ひとりの氏名やメールアドレスは、本文を考える材料にはなりません。
文章を作る作業と、送る相手を決める作業を分ける。 株式会社ARISTAとして、今回のような案内メールで最初に提案したい線引きはこれです。
「名前を消せば安心」で止まらない
氏名の列を消しても、メールアドレスや電話番号が残れば、その人につながる情報は残ります。購入履歴や対応メモにも、個人を特定する手がかりが含まれることがあります。
たとえば「特定の地域に住む、珍しい商品の購入者」という情報に、詳しい相談内容が加わっている場合です。名前がなくても、ほかの情報と合わせて誰のことか分かる可能性があります。
また、顧客番号を「お客様A」に変えるだけでは、入力する必要性は解決しません。今回の目的は、誰かを識別できる形で名簿を渡すことではなく、展示会の案内文を作ることだからです。
個人情報保護委員会は、生成AIへの個人情報の入力について、利用目的の達成に必要な範囲かを確認するよう注意を促しています。利用規約やプライバシーポリシーの確認も求めています。ppc.go.jp
そこで今回は、「名簿から何を消すか」より先に、案内文だけで完結する入力材料を別に作る方法を取ります。名簿を加工して渡すより、担当者が迷う箇所を減らせます。
学習に使われないことと、入力してよいことは別
ここで気になるのが、「会社向けのChatGPTなら、そのまま貼ってもいいのでは?」という点です。
OpenAIは、ChatGPT BusinessやEnterpriseなどの業務向けサービスについて、入力・出力を既定ではモデルの学習に使わないと説明しています。OpenAI
ただし、それだけで自社の顧客名簿を入力してよいと決まるわけではありません。学習への利用と、サービス側での保存・処理、契約上の扱い、自社が顧客に示した利用目的は、それぞれ確認する事項です。
今回の案内文なら、名簿なしで作れます。まずは必要のない顧客情報を渡さない運用から始め、個別情報を使う必要が生じたときに、利用環境と社内の承認条件を確認する。この順番なら、文章作成を進めながら線引きできます。
名簿を渡さず、案内文を作る手順
1.案内目的を決める
「展示会への参加を案内する」と一文で決めます。「顧客ごとに購入履歴を分析し、おすすめ商品を選ぶ」までは含めません。目的を広げるほど、入力したくなる情報も増えるためです。
2.必要情報を選ぶ
新しいメモを開き、公開予定の日時、会場、展示内容、申込方法だけを書きます。名簿の行をコピーして削るのではなく、案内に必要な事実を書き起こします。
3.共通文を下書きする
ChatGPTには、そのメモと文章の条件を渡します。宛名は「[宛名]」のままにし、実在する顧客の氏名や連絡先は入力しません。未確定の条件も、AIに推測させず空欄にします。
4.社内で宛名設定
担当者が本文を確認した後、会社で使っているメールソフトや顧客管理システムで宛名と送信先を設定します。名簿を扱うのは、この社内の工程です。
この分担なら、共通の案内文を作るたびに顧客情報を加工する手間を減らせます。文章の確認と送信先の確認も分けられるので、「本文は良いのに宛先が違う」というミスに目を向けやすくなります。
そのまま使える依頼文
以下は架空の展示会を使った記入例です。自社で使う際は、顧客情報を足さず、公開予定の案内内容だけを置き換えてください。入力前に、会社が承認した利用環境かも確認します。
テンプレート:顧客名簿を渡さずに案内メールを作る
既存のお客様向けに、展示会の案内メールの下書きを作ってください。顧客名簿や個別の購入履歴は使用しません。
案内の材料
- 目的:展示会への参加案内
- 対象:当社の商品を利用しているお客様
- 日時:[開催日時]
- 会場:[会場名・所在地]
- 内容:新商品の展示と使い方の紹介
- 参加費:[確定した金額]
- 申込方法:[申込方法]
- 申込期限:[期限]
文章の条件
件名と本文を作成してください。本文は300文字程度で、丁寧で押しつけない表現にしてください。
宛名は[宛名]、署名は[署名]としてください。個人名、連絡先、購入履歴を推測して追加しないでください。
材料にない特典、在庫数、限定条件は追加しないでください。不足している情報は、本文とは別に「確認事項」として挙げてください。
返ってきた文章に「参加者限定の割引」など、材料にない内容が入っていたら削除します。自然な文章でも、案内の条件が正しいとは限りません。特に日時、金額、申込期限は、元の案内メモと照合します。
社内ルールは、この一文から始められる
大きな規程を作る前に、この作業で守ることを短く決めておくと、次の担当者も同じ方法で進められます。
社内ルールの初版例
「展示会の共通案内文をAIで作る際は、会社が承認した利用環境で、公開予定の案内情報だけを入力する。顧客名簿と個別の対応メモは入力せず、宛名・送信先は社内で設定する。送信前に営業責任者が本文を確認する。」
これは、あらゆる顧客情報の利用を判断する規程ではありません。展示会の共通案内文という、ひとつの作業を回すための初版です。確認者は、自社で実際に確認できる役職や担当者に置き換えます。
「顧客ごとに案内を変えたい」という要望が出たら、まず共通文で対応できるかを考えます。個別の購入履歴が本当に必要なら、担当者の判断で追加せず、責任者が利用目的、契約、入力範囲を確認してから扱います。
最初から例外を増やさず、共通文を作るところまでを確実に回す。これなら、「使っていいか分からない」という状態から、一つの仕事を進められます。
送信前に確認するのは、この四点
下書きが完成したら、次を確認します。AIへの入力だけでなく、お客様に届くまでが今回の作業です。
- 入力材料を確認:氏名、連絡先、購入履歴、対応メモを混ぜていないか。
- 案内条件を照合:日時、会場、金額、申込方法が元のメモと一致しているか。
- 宛名と宛先確認:置換漏れや送信先の誤りがなく、ほかの顧客のアドレスが見える送信方法になっていないか。
- 責任者が最終確認:指定した確認者が本文を承認したか。
顧客名簿を貼ってよいか迷ったら、「この文章を作るのに、名簿は本当に必要か」と問い直してみてください。今回の展示会案内なら、必要なのは開催情報です。
最初の一歩は、新しいメモに「案内の目的」と「公開予定の開催情報」だけを書くこと。そのメモを入力材料にすれば、顧客名簿を開いたままChatGPTへの貼り付けを迷うところから抜け出せます。
もっと具体的な手順とテンプレートが必要な方へ
入力材料の選び方、案内文の依頼文、送信前の確認項目を、担当者が使える形でそろえたい方へ。これらを社内で回せる形にまとめた有料記事があります。
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この記事の続きを、社内で回せる形にまとめました
この記事で扱った話の続きとして、問い合わせ・Excel・研修・採用・SNSにそのまま使えるプロンプトとテンプレ、社内のAI利用ルール雛形、使い始める前の安全チェック、30日の導入計画までを1本にまとめました。
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