ブログ

BLOG

ホーム>ブログ>AIが書いた会社の文章、そのまま「私たちの言葉」にしていいの?

AIが書いた会社の文章、そのまま「私たちの言葉」にしていいの?

会社のSNS投稿をChatGPTで作る。文章は自然で、誤字もなく、読みやすい。担当者は少し手直しして、そのまま公開する。

この記事を読む理由
この記事を読む理由

でも、その文章に書かれていることを、会社として本当に説明できるでしょうか。

今回は、社員30人ほどの小さな会社がAIでSNS投稿を作る場面を例に、AIが作った文章を誰の言葉として発信するのか、そして会社の信用を守るために何を確認すべきかを考えます。

文章がうまいことと、会社が責任を持てることは別

例えば、地域で小さな食品店を経営している会社があるとします。

新商品の販売を知らせるため、担当者がChatGPTに次のように頼みました。

「新発売の焼き菓子について、Instagramに投稿する親しみやすい文章を作ってください」

AIは、こんな文章を返すかもしれません。

AIが作った投稿の例

「素材にこだわり、一つひとつ丁寧に焼き上げた自慢の焼き菓子が新登場!保存料を使わず、小さなお子さまにも安心してお召し上がりいただけます。ぜひ当店でお試しください!」

読んでみると、商品の魅力が伝わりそうです。お店の雰囲気にも合っているかもしれません。

しかし、ここで確認したいことがあります。

「保存料を使わず」という情報は、どこから来たのでしょうか。

「小さなお子さまにも安心」という判断は、誰がしたのでしょうか。

担当者が入力したのは、新商品の紹介文を作ってほしいという依頼だけです。

それなのにAIは、商品の品質や安全性について、会社が伝えていない情報まで文章に加えています。

AIには、自然で魅力的な文章を作る能力があります。一方で、確認していない事実をもっともらしく書くこともあります。

ここで問題になるのは、文章をAIが作ったこと自体ではありません。

会社が確認していないことを、会社の公式な言葉として発信してしまうことです。

読者は「AIが書いた文章」として受け取らない

会社の公式Instagramに文章が掲載されていたら、読者はどう受け取るでしょうか。

おそらく、その会社が商品について説明していると考えます。

「これはAIが書いた文章だから、内容は未確認かもしれない」とは普通考えません。

仮にお客さまから「本当に保存料は入っていないのですか?」と問い合わせが来た場合、会社は回答する必要があります。

そこで「ChatGPTが勝手に書いた内容なので分かりません」と答えれば、お客さまはどう感じるでしょうか。

少なくとも、公式発信への信頼は揺らぎます。

私が重要だと考えるのは、文章の作成者と、発信内容に責任を持つ人を分けて考えることです。

AIは文章を作れます。しかし、商品の情報が正しいか、お客さまに約束できる内容かを判断するのは会社です。

これはAIを使わず、外部のライターに文章を依頼した場合も同じです。

外部の人が書いたからといって、確認せずに会社の公式情報として公開してよいわけではありません。

AIについても、基本的な考え方は変わらないはずです。

「AIを使いました」と表示すれば解決する?

ここで、別の疑問が出てきます。

「AIが作成した文章です」と明記すれば、会社の責任は軽くなるのでしょうか。

AI利用の開示が必要になる場面や、読者に知らせたほうがよい場面はあります。

しかし、AIを使ったと表示することと、文章の内容が正しいことは別問題です。

例えば、先ほどの焼き菓子の投稿に「この文章は生成AIを利用して作成しました」と追加したとします。

それでも、保存料の有無について誤った情報が書かれていれば、問題は残ります。

お客さまが知りたいのは、AIを使ったかどうかだけではありません。

商品の説明が正確で、その内容を信頼して購入できるかどうかです。

だからこそ、AI利用の表示だけに頼るのではなく、公開前の内容確認が必要になります。

また、AIが文章を作ったからといって、すべての文章に一律の表示義務があるわけではありません。広告内容や表現方法、利用する媒体などによって判断が変わります。

表示の有無を考える前に、まず会社として発信できる内容に仕上げることが先です。

小さな会社ほど「誰が確認したか」を曖昧にしない

社員が少ない会社では、SNS担当者がほかの仕事も兼ねていることが珍しくありません。

商品の撮影、投稿文の作成、コメントへの返信まで、一人で担当している場合もあります。

忙しいときにAIで文章を作れるのは、大きな助けになります。

ただし、便利になるほど、別の問題も生まれます。

文章を作る時間が短くなる一方で、内容を確認する時間まで短くしてしまうことです。

「AIがきれいに書いてくれたから大丈夫」

「いつも同じような投稿だから問題ない」

こうした判断が続くと、事実確認をしないまま公開することが当たり前になってしまいます。

では、毎回社長がすべての投稿を確認すべきでしょうか。

私は、そこまでする必要はないと考えます。

重要なのは、誰が何を確認するかを決めることです。

例えば、通常の商品紹介はSNS担当者が確認する。一方で、価格や品質保証、返品条件など、新たな約束につながる内容は店長や責任者に確認する。

こうした分担なら、すべてを社長に集中させずに運用できます。

ここでいう確認者は、文章が上手かどうかを評価する人ではありません。

会社がその内容を事実として説明できるかを判断する人です。

AIの文章を「会社の言葉」に変える方法

それでは、先ほどの焼き菓子の投稿を実際に修正してみましょう。

まず、AIが作った文章をそのまま採用せず、事実と表現に分けます。

確認する内容

  • 「素材にこだわり」:具体的にどの素材を指すのか。
  • 「一つひとつ丁寧に」:製造工程の説明として正しいか。
  • 「保存料を使わず」:原材料表示や製造担当者への確認で裏付けられるか。
  • 「小さなお子さまにも安心」:安全性を保証するような表現になっていないか。

このうち、確認できないものは削除するか、確認できる事実だけに置き換えます。

例えば、店舗側が「新しい焼き菓子を金曜日から販売する」「店内で焼いている」と確認できているなら、次のように書けます。

修正後の投稿例

「今週金曜日から、新しい焼き菓子の販売を始めます!店内で焼き上げた商品を、おやつの時間にいかがでしょうか。お近くにお越しの際は、ぜひお立ち寄りください!」

最初の文章と比べると、少し控えめになったと感じるかもしれません。

しかし、確認できない品質や安全性の説明はなくなりました。

その代わりに、販売開始日と製造場所という、店舗が確認できる情報を使っています。

これなら、お客さまから質問されたときにも説明しやすくなります。

文章が派手かどうかより、会社として説明できるかどうか。

この基準を持つだけでも、AIの文章との付き合い方は変わります。

今日から使える、公開前の確認方法

毎回AIの文章を最初から全部書き直す必要はありません。

AIには下書きを任せ、会社は事実の確認と発信の判断を担当する。

そのために、SNS投稿を公開する前に次の確認を行ってみてください。

SNS投稿の公開前チェック

  1. 事実を確認する

商品名、価格、販売開始日、原材料などに間違いがないか。

  1. 約束になる表現を探す

「必ず」「安心」「安全」「誰でも」など、言い切ってよい内容か。

  1. 説明できない表現を直す

根拠のない宣伝文句を削除し、確認できる情報に置き換える。

  1. 発信する人を確定する

担当者が最終確認し、判断できない内容は責任者に相談してから公開する。

もう一つ、ChatGPTに確認作業を手伝わせる方法もあります。

例えば、AIが作った文章を貼り付け、次のように頼みます。

そのまま使える確認用の指示文

「以下は会社の公式Instagramに掲載する予定の文章です。

文章の中から、事実確認が必要な表現、品質や安全性を保証するような表現、お客さまへの約束になる表現を抜き出してください。

それぞれについて、なぜ確認が必要なのかを説明してください。

確認できない内容を事実として補わず、店舗側に確認すべき質問を提示してください。

最後に、確認が取れている情報だけで書ける文章案を作ってください。

【投稿予定の文章】 ここに文章を貼り付ける」

これなら、担当者が見落としそうな表現を洗い出す補助として使えます。

ただし、AIによる確認結果も正しいとは限りません。最終的には、原材料表示や店舗の記録、商品担当者の説明と照らし合わせる必要があります。

AIに別のAIの文章を確認させるだけでは、事実確認は完了しません。

会社の信用を守るのは、文章の作り方より公開の判断

AIで文章を作ることは、手抜きではありません。

少人数の会社が限られた時間で情報発信を続けるための、合理的な方法だと思います。

ただ、文章が簡単に作れることと、安心して公開できることは同じではありません。

AIが書いた文章でも、会社の公式アカウントから発信した瞬間に、お客さまにとっては会社の言葉になります。

だから、誰が書いたかだけでなく、誰が内容を確認し、会社として発信すると決めたかが重要です。

目指したいのは、AIらしさを完全になくすことでも、人間がすべて書き直すことでもありません。

AIが作った文章を、会社が責任を持って説明できる文章に変えることです。

今日の小さな一歩は、次に公開するSNS投稿で、事実や約束になっている表現を一つずつ確認することです。

その確認を習慣にするところから、会社の信用を守るAI活用は始まります。

もっと具体的な手順とテンプレートが必要な方へ

AIが作った文章から確認が必要な表現を抜き出し、担当者が事実を確認して公開を判断するまでの流れを紹介しました。

こうした確認作業を担当者任せにせず、社内で回せる形に整理した手順とテンプレートを、有料記事にまとめています。

読後の実行チェック
読後の実行チェック

この記事の続きを、社内で回せる形にまとめました

この記事で扱った話の続きとして、問い合わせ・Excel・研修・採用・SNSにそのまま使えるプロンプトとテンプレ、社内のAI利用ルール雛形、使い始める前の安全チェック、30日の導入計画までを1本にまとめました。

【保存版】社員30人までの会社が生成AIを毎日の業務に載せる8ステップ(500円)

→ https://note.com/arista_inc/n/n7c6f6fb980b2

← 記事一覧へもどる

「うちの場合はどうすれば?」と思ったら

記事に書ききれない、会社ごとの事情に合わせたやり方もあります。相談は無料です。

相談してみる(無料)